諭旨退職とは?
先日、ある会社の従業員の一人が、会社の商品を持って帰って、私的に利用していたらしく
社長さんが怒って、解雇にしようとしたらしいのですが、本人と話し合って
”諭旨退職” にしたと聞きました。
ちょっと気になって、一般的な就業規則って懲戒のところってどうなってるのかなぁって
思い、調べてみました。
(懲戒の種類)
第○条 会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
(1) け ん 責……始末書を提出させて、将来を戒める。
(2) 減 給……始末書を提出させて、減給し将来を戒める。但し、言及は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が、一賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
(3) 出勤停止……始末書を提出させて、7日以内を限度とした出勤を停止し、その期間の賃金を支払わない。
(4) 降 格……始末書を提出させて、上級職位を解任して下級職位に就け、下級給料表に格付けする。
(5) 諭旨解雇……懲戒解雇に準ずる事由により解雇する。(諭旨解雇に相当する事由があった場合、退職金は減額して支給する。)
(6) 懲戒解雇……即時に解雇する。所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当を支給しない。(又原則として懲戒解雇に相当する事由があった場合、退職金は全額支給しない。)
これが、どうやら一般的なのですが、肝心の ”諭旨退職” の文字がありません。
似たような ”諭旨解雇” はあるのですが、どう違うのでしょうか。
「諭旨解雇」と「諭旨退職」
「諭旨解雇」と「諭旨退職」、似たような言葉ですが、やっぱり解雇とつくと
心情的に嫌なものですよね。何が違うのでしょうか。
出典:東京労働局労働基準部リーフレット「しっかりマスター労働基準法ー解雇編ー」より
上記の解釈により、
①のように、解雇手当を支払ったりして、解雇扱いにする場合に「諭旨解雇」
②のように、①と同じような不祥事や非行があったとしても、その行為を諭した上で
従業員の意思により辞表をだしてもらうと「諭旨退職」
と、いっているようです。
具体的にどう違うかといえば、
①の諭旨解雇の場合は、解雇扱いとなりますので、原則として30日前に「解雇予告手当」を
会社側が従業員に支払わなければなりません。
②の諭旨退職の場合は、従業員の意思に委ねるところがありますので、本人が辞表を提出すると
「自己都合退職」の扱いとなります。
また、就業規則上に規定があればの話になりますが
「退職金」が支給される会社になると、就業規則で、解雇扱いの退職と自己都合扱いの退職では
退職金の支給に差があるところがほとんどだと思います。
解雇扱いになると、退職金が支給されないところが多いのではないかと思います。
失業保険は?
それでは、会社をどちらかの理由で辞めてしまった場合、
雇用保険の失業保険はどうなるのでしょうか。
まず、「諭旨解雇」の場合は、解雇扱いになります。
対して、「諭旨退職」の場合は、自己都合退職です。退職金と同じ扱いですね。
どれだけ違うかといいますと…
「諭旨退職」(自己都合退職)の場合
「諭旨解雇」(重責解雇を除く。)の場合
あと、「「諭旨退職」の場合は、7日間の待期期間後、3ヶ月の給付制限がかかりますが
「諭旨解雇」なら、待期期間後にもらえたり、
通常、12ヶ月間必要な被保険者の期間も6ヶ月でよかったりします。
※注:1月につき11日以上基礎日数がいるとか、要件がありますので、各自ご確認ください。
まとめ
ひとことで、「諭旨退職」といっても、ケース・バイ・ケースによるところがあります。
同じ「諭旨退職」であっても、内容によって、また就業規則によって、解釈が違うこともあります。
失業保険に関しては、退職の理由によって、もらえる期間が変わってくることもあります。
ハローワークの窓口で、「退職の理由」について、聞かれることがあると思いますが
離職票にかかれてある理由と違っていると、会社に問い合わせがきます。
場合によっては、退職理由の変更を余儀なくされますので、労使双方とも「退職の理由」については
確認の上で、雇用契約を終了させることが必要です。
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